ブルックスブラザーズのシャツを見ていると、Cotton、Supima® Cotton、そして「AMERICAN SUPIMA COTTON」と記されたタグに出会います。並べると品質の段階を表しているようにも見えますが、この三つは同じ物差しの上にある等級ではありません。

Cottonは繊維の種類、Supimaは原料の種類と産地を管理する商標、AMERICAN SUPIMA COTTONはその米国産を明示した表記です。さらに、原料が育った国と、シャツが縫製された国も別の情報です。タグの言葉を一つずつ分けてみましょう。

Cottonは、まず繊維の種類を伝える言葉

Cotton、つまり綿は、素材表示に使われる一般的な繊維名です。米国FTCのルールでは、衣料品には構成する繊維の一般名と割合を表示します。「100% Cotton」は、基本的に繊維組成が綿100%であることを示す表現です。出典:米国FTC「Calling It Cotton」

ただし、この表示だけでは綿花の品種、繊維の長さ、産地、糸の細さ、生地の織り方、加工、縫製工場までは分かりません。同じ綿100%でも、オックスフォードとブロードでは手触りも見え方も違います。「綿100%」は品質の順位ではなく、素材の構成を読むための出発点です。

Supimaは、綿とは別の繊維名ではない

Supima®は、米国で栽培された超長綿(Extra-Long Staple Cotton)を示す商標です。Supimaの団体は1954年に設立され、名称はSuperiorとPimaを組み合わせたものと説明しています。現在はカリフォルニア、アリゾナ、テキサス、ニューメキシコで栽培され、商標を付ける製品には認可された供給網を通した原料が求められます。出典:SUPIMA FAQ

米国農務省は、一般的なUpland Cottonと、繊維長がより長いPima Cottonを分けています。Supimaは「米国産のPima Cottonを示すブランド」と考えると分かりやすいでしょう。出典:米国農務省ERS「Cotton Sector at a Glance」

したがって、Cottonの中にPima Cottonがあり、米国産Pima Cottonを商標と管理の仕組みで示すのがSupimaです。「Pima」と書かれた綿がすべてSupimaになるわけではなく、「American Cotton」と書かれた綿がすべてSupimaになるわけでもありません。

「AMERICAN SUPIMA COTTON」は、さらに上の等級なのか

古いブルックスブラザーズのシャツに見られる「AMERICAN SUPIMA COTTON」という表記を、Supimaより上の別等級と考える必要はありません。Supimaはもともと米国産であることを含んだ名称です。その前にAMERICANを置くのは、原料の米国産をタグ上ではっきり伝える表記と読むのが自然です。

一方、ブルックスブラザーズの現行商品では「American-grown Supima® cotton」という説明が使われています。これは今回取り上げる古いタグの文言そのものではありませんが、現在は別の言い回しで米国産を説明している例です。Supimaの公式ブランド一覧にも、ブルックスブラザーズがパートナーブランドとして掲載されています。出典:ブルックスブラザーズ・Supimaドレスシャツ 出典:SUPIMA・ブランド一覧

ここで区別したいのは、American Cottonという広い表現です。米国ではSupima以外の綿も多く栽培されています。Americanという一語だけで、超長綿やSupimaの商標管理まで意味するわけではありません。

米国産の綿でも、シャツが米国製とは限らない

AMERICAN SUPIMA COTTONのAMERICANが伝えているのは、原料の綿花が育った場所です。完成したシャツの縫製国を示すMade in USAとは意味が違います。

たとえば、ブルックスブラザーズのSupimaドレスシャツの商品ページは、米国産Supimaを使う一方で、製品についてはImportedと表示しています。米国で育った綿が糸や生地になり、別の国でシャツへ縫製されることは両立します。古着では、素材名の近くにあるAmericanの文字だけで米国製と判断せず、独立した原産国表示を確認する必要があります。

Supimaでも、必ず綿100%とは限らない

素材名と混用率も分けて読みます。ブルックスブラザーズのSupimaピケポロは100% Cottonと表示されています。一方、ストレッチ仕様のSupimaドレスシャツには97% Cotton、3% Spandexという例があります。出典:ブルックスブラザーズ・Supimaピケポロ 出典:ブルックスブラザーズ・Stretch Supimaドレスシャツ

Supimaは、使われた綿原料についての情報です。シャツに他の繊維が混ざっているかは、Cotton、Spandexなどの割合を記した品質表示で確かめます。商標のタグと繊維組成のタグは、役割が違うのです。

長い繊維がもたらすものと、名前だけでは分からないもの

Supimaの公式説明では、長い繊維から細く滑らかな糸を作りやすく、強度、柔らかさ、色持ちにつながることが特徴に挙げられています。出典:SUPIMA「The Cotton」

ただし、Supimaという一語だけで完成品の良し悪しがすべて決まるわけではありません。糸の作り方、生地の密度と織り、ノンアイロン加工、縫製、そして古着なら保管状態や着用による傷みも、実際の着心地に影響します。商標は有力な手がかりですが、シャツ全体の品質を保証する万能な順位表ではありません。

古いシャツでは、五つの情報を順番に見る

ブルックスブラザーズの古いシャツを手に取ったら、次の順番でタグを読むと整理しやすくなります。

まず、Cottonが何パーセントか。次に、SupimaやAMERICAN SUPIMA COTTONという表示があるか。そして、Made in USAやImportedなど完成品の原産国、オックスフォードやピンポイントといった生地、最後に縫い目や襟、袖口の状態を見ます。

Supimaの現在の認可制度では、供給網の記録と原料の検証が行われていますが、現在の仕組みをそのまま昔のシャツへ当てはめることはできません。出典:SUPIMA・ライセンス情報

古いタグにSupimaの文字があれば重要な情報ですが、その表記だけで年代や工場を決めず、ほかの表示と一緒に読みます。そうすることで、一枚のシャツについて「綿である」こと、「どの原料をうたっているか」、「どこで服になったか」を混同せずに伝えられます。

Cotton、Supima、American Supima Cotton。その違いが分かると、タグは短い宣伝文句ではなく、素材が服になるまでの道筋を読む資料になります。

Simple Design Storeの商品を見る